ーガチャン……

シーンとした空気に耐えきれなくなってそのままベッドにダイブする。

「美紅か……」

俺は天井に手を伸ばして数時間前のことを思い返していた。

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「バカ……」

美紅はそう言って泣いていた。

俺は美紅が俺の家に入った後扉の前に行った。

「風磨しか……愛せないよ」

俺は迷った。

美紅が俺のことをそれくらい思ってるのは知ってたけど、いざその言葉を言われると今すぐ美紅を抱きしめたくなる。

俺はここにいるって……大丈夫だって安心させたい。

けれどしょうがないんだ……

もう俺にそんなことする資格なんてない。

だから俺はこの道を選んだ。

そう何度も俺に暗示をかけて美紅の泣き声に虚しくなりながら俺はその場を後にした。

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「はぁ……」

久しぶりの実家なのに全然何もやる気にならない。

まぁ、これも一時的な物だ。

「よし……」

俺は新しい携帯にメモリを移してみた。

その間ちゃんと実家にある物も荷造りして。

「ダリィ……」

約1時間荷造りをして少し休憩する。

そしてメモリを全て移した新しい携帯のアルバムを見る。

「え……」

俺は見覚えのない写真を見て驚いた。

「つか、これ……」

思わず笑ってしまう。

そこには俺達と美紅達が初めて会った顔を合わした時であろう写真。

凄い美紅と留衣の変顔がアップに写されている。

絶対撮る携帯間違えただろう。

でもそんな美紅が今まで撮ってきた美紅より美紅より美紅らしく見えて凄い大切な写真に見える。

「これは永久保存だな」

俺はアルバムに“美紅”のフォルダーを作って今まで撮ってきた美紅が映っている写真を入れた。

もちろんさっきの変顔も。

そして健人にも送ってやろうと思って健人の連絡先を探す。

出発は1週間後だ。

何年経ったら美紅に会えるだろうか……

でも俺は諦めない。

たとえ美紅が他の誰かと結婚していても……

俺はその美紅に会える日を生き甲斐にして生きるんだ。