「人には―――――」 「人には?」 私が問い返すと、満面の笑みをしてみせる。 「言葉がある」 「うん」 お尻のポケットに手を突っ込み、また青を見る。 「言葉は時に人を傷つけ、悲しい思いもさせる。だけど、その言葉であったかくなったり、嬉しくなったり、笑ったりもできる」 「……うん」 佐山は、青から私の顔へと視線を移す。 そして、まっすぐ私の目を見て言った。