思えば、私が楽しみにしてた日ってのは大概雨だった。
小学校の遠足。中学での修学旅行のキャンプ。家族で行く、遊園地。ほとんど雨だった。
まあ、雨なら雨でまあまあ楽しめるんだけど、やっぱり、晴れてた方が嬉しいものである。
そういえば、あだ名が「雨女」だった時期もあった。友達と出かける日、私がいるとだいたい雨になるからだ。
そんなわけで、私、市ヶ谷美咲は今日、高校生になったんだけど、楽しみにしてたわりに、雨が降る様子がなくとても嬉しいのだ。
「いー、いー、市ヶ谷…美咲…あった。1-A、かぁ」
「えっ?市ヶ谷A?まじかよー。俺、H組だわ…遠いな。」
「うわっ?!安藤…、いつの間に…。」
「さっきから一緒にいたじゃねーかよ!ひでぇ…」
安藤こと安藤悠二は同じ中学出身で二年間同じクラスだった。結構おちゃらけてるやつで、あまり私とは関わりがなさげな人だが、何故かよく私に話しかけてくれる。まあ、嬉しいしいいんだけど。
「そっか…市ヶ谷…一番遠いクラスか…。」
「まあ、会おうと思えば会えるっしょ。途中まで一緒に行こ?」
「…そうだよな!」
ここから私の波乱万丈(?)な高校生活が始まる。