「副長、連れてきました」
「ああ、入れ」
「失礼します」
斎藤に続き美土里も部屋に入った
・・・汚い、心の声が漏れそうな美土里であったがその言葉を飲み込み、斎藤が空けてくれた場所に座った
「お前は誰だ?なんで夜中にあんなところにいたんだ?」
「お前は誰と聞く前に自分から名乗るのが礼儀というものだろう。なあ、壬生浪士組副長の土方さん?」
「なんでお前が俺の名前を知っている?!」
「なんでって、壬生浪士組と書いてある門を通ってこの屋敷に入り、この斎藤という男がお前を副長と呼び、壬生浪士組の副長と言ったら土方という男しかいないだろう。それに、もう一人の副長がいるらしいが仏らしい人と言っていたし。」
「・・・そうか」
土方と斎藤は確かにと納得してしまったが、話はそこではない
「じゃあ、俺の名前は分かっているんだろう?お前の名前ぐらい教えろ」
「私の名前は美土里(みどり)だ」
「苗字はなんだ?」
「そんなものとっくの昔に捨てた。家の名前など私にはない」
この言葉に土方は何も言葉を返すことができなかった


