まさか!!

あたしが今から群馬に行こうとしたことがばれた!?


そんなわけ絶対に無いのに、そう思うくらい焦った。




『もしもし…』

『あ、しいタン…』



久しぶりのゆうタンの声。

懐かしいゆうタンの声。

あたしの大好きなゆうタンの声。



一言も聞き逃さないように携帯をグッと耳に押し当てた。



『元気?』

『元気だよ。ゆうタンは?』

『うん、俺も元気。』

『そかそか…』



だめだ、ドキドキして声が震えちゃってるかも
心臓の音、まさかゆうタンに聞こえたりしないよね?


これが電話じゃなく目の前で会話してたとしたら絶対に聞こえてたに違いない。


『あの写真早くほしいな。』



『それなら今から持って行くよ。』なんて…

言えるわけない!



『じゃあ、送ろうか?東京だよね。』

あたしはそう言った。



『や、今はもう群馬の実家に帰ってきてる。』

『え?そうなの?』



…ってことは、もう東京で今日子と一緒に住んでないの?



『ん?…今日子と同棲してたんじゃ?…』

『あぁ、もうだいぶ前に別れてるよ。』

『そなんだぁ、あたしもだよ…』

『そっかぁ…』


あたしたちは結局お互い誰とも付き合ってない状態だった。