蹴られた脇腹が痛い
殴られた顔が痛い
扇風機の羽根に絡んだ指が痛い
全身が痛い…


でもこんな事はこれで最後。
もう絶対最後。


そう思うと幸せな気持ちが沸いてきた。


役所に向かうあたしは痛みで辛いのと暴力から解放される嬉しさが入り乱れて、今までに味わった事の無いなんとも言えない変な気分だった。


役所に離婚届けを提出し職員さんに、


『受理しました。』


そう言われた瞬間、不謹慎だと思いながらも嬉しさで顔がニヤけてしまった。


そして役所から出る時も自動ドアが開いたと同時に思わずスキップした。


おしまい!!おしまい!!

これで全部おしまい!!

全ておしまい!!

何もかもおしまい!!




あたしは…
家庭を無くした。


あたしは…
ゆうタンを無くした。



これからは、誰にも頼らない。
これからは、泣かない。


尚、強く生きてて独りで娘を育てぬく。


あたしはどんどん世間の荒波に立ち向かって行ったのでした。