ゆうタンを見送る日。

どんなに離れたくなくても新幹線があたしのゆうタンを連れ去っていく。
何度同じようにこうしてゆうタンを見送っても慣れることなんてない。



駅のアナウンスも発車のベルも、耳に響いて一気に寂しさがこみ上げてくる。



お願い時間よ止まって!



そう思っても容赦なく時は刻々と過ぎていく。




『またしばらくゆうタンに会えないね…』

『電話もメールもするから』

『うん…』

『手紙も書くよ』

『…ん。…今度いつ会えるかな?』

『うーん…ゴールデンウィークか?盆休み…かな?』



お互い仕事もあるし仕方ない。
けど、わかっててもこの言いようのない寂しさはどうする事も出来ない。



『寂しいよぉ…』

『絶対迎えに来るから待ってろ』



ゆうタンはぎゅっとあたしを抱きしめて軽くキスした後、新幹線に乗り込んだ。



『しいタン、笑って』


そう言って、ゆうタンは携帯のカメラをこちらに向けた。




プルルルルルー



ベルが鳴り新幹線のドアがあたしとゆうタンとの空間を遮る。



あたしは一生懸命携帯カメラを構えるゆうタンに笑顔を見せて手を振った。



頑張って笑顔を作ってみたけど…



でも…


それでもやっぱり動き出す新幹線を追いかけてると勝手に涙が出ちゃう。





どうしてあたしたち離れ離れなの?

いつになったら迎えに来てくれるの?



ゆうタンは群馬
あたしは大阪


ゆうタンは20歳
あたしは32歳



その頃のあたしたちは、2人の距離と年齢差を今すぐに解決することなんて到底出来っこなかったのです。