株式会社「C8」





そう、慎也は仲間思いの優しい人間だった。それは長い付き合いの慎也には分かる。しかし、それでいて仲間同士の喧嘩や争い、裏切りにはメンタルが弱かったのも確か。



『……ああ、そうさ。以前までの俺はな!お前その様子じゃ知らないようだな……、翼は「C8」を潰そうとしている組織のスパイだったんだぜ?…俺はそれを知っててずっと翼を会社に置いてた。いつかはそんな事やめてくれると信じていたんだよ!』


『!?』


『はは、信じていた奴に裏切られんのは辛いよな…。翼は今月中に俺達を全員殺すつもりだったみたいだ。…仲間なんて所詮そんなもん、世の中信じられるのは金だけだ!!』


『……何で翼がスパイだと分かった?』


『そんな事はお前に関係ない。仲間なんて戯れ言だ。俺は俺の仕事を全うする。最後に直接話せて良かったよ。…冬真、お前はこの俺の手で殺してやるからな。』



慎也はシルバーの銃口を冬真へと向けた。


『!?、やめろ!何考えてる!』


『冬真の次は浩子だ。お前あいつの居場所知らないか?しばらく家に帰ってないみたいだが…。』


『お前、自分の妹だぞ!?あんなに可愛がってたじゃないかっ!』


『…ふっ…、手遅れなんだよ。俺はもう誰も信用できない。自分の妹が何だ…あいつも人間だ、お前も浩子も、翼と同じ人間じゃないかっ!』



話が無茶苦茶すぎる…。

翼が「C8」を潰そうとするスパイだった?

そんな事、信じられる訳が無い。翼は八代の事も、皆の事も大切にしていた。そして何より自分の居場所を誇りに思っていた筈だ。

誰かが慎也に嘘を吹き込んだに違いない。仲間の裏切りに対するメンタルの弱さを利用したんだ。


――慎也の奴、震えてるじゃないか…。


一体誰だっ!誰が慎也を追い込んだんだ!

戸羽信孝…

奴が「C8」を潰す為に慎也を利用した?



『八代はあいつの親父が直接殺すらしいからな…だから今回の依頼には同行させなかったんだ。』


『待て慎也!お前は利用されているだけだ!何故分からない?…翼が、翼が本当に俺達を裏切るような奴だと思うか!?』


『うるせぇ!黙れっ…俺はもう…誰を信じて良いか分かんね-んだよっ!もう、後戻りは出来ないんだっ!クソがっ!!』



ドンッ!!