五人を殺したのが慎也なのかは、直接本人に聞いて確かめるしか無い。
親友の立場なら彼を信じるべきだが、この裏社会では何が起こるかは分からない。裏切り等当然のようにある。しかし、彼が何か危険な事をしようとしているのならば止めなければならない。
それにしても、『戸羽』とは…。
八代の名字だが、彼が関わっているとは思えない…。人ではなく、何かの名称か?
当日、冬真は一応、今まで一度も使った事のない銃を手に港倉庫へと忍び込んだ。いくつもあるコンテナの後ろに隠れ、22時を待つ。
そして、メモの時間通りにそこに現れたのは…
慎也と見知らぬ男だった。
彼等は短時間で会話を終わらせ、やがて慎也を残して男は去った。
『…冬真ぁ。いるんだろ?出て来いよ。』
『!、……………慎也。』
やはり、此処に導く為にメモを残していたのか。
『おう…久しぶり。悪いな、見え見えの茶番に付き合わせちまって。お前なら気付いてくれると思ってたよ。』
見た目は数日前のままの親友。
慎也の取った行動の真意を聞いた所で、「感動の再会」とはいかないだろう。冬真は慎也との距離を取り、彼の言葉を待った。
『ははっ、そんな警戒すんなよ。傷付くんだけど。』
『…慎也、何でこんなことを……』
『まぁ、お前には直接会って言おうと思ってたんだ。一応親友だしな…。聞きたい事聞けよ。』
『……雅に嘘を吐かせ、遺体を隠させたのはお前だな?』
『ああ、その辺はもう分かってんだろ?』
『…雅に翼達を殺させ、残った雅は…お前が殺したのか!?』
『…ご名答っ!雅も共犯者だったよ。流石に俺も仲間を五人も殺すなんて嫌だったからさぁ…雅に頼んだんだよ。あいつは喜んで協力してくれたぜ?相変わらず癖は直ってなかったけどな。』
『……お前、雅の気持ちを利用したのかっ!』
雅は慎也の事が好きだった。
直接想いを告げる事はしないものの、態度を見ていれば分かる。全員が知っていた事だ。
慎也は雅にこう頼んだ。
死んだと見せかけ、少し経った後雅に連絡を取り、生きていることを伝えた。だが、慎也は何者かに命を狙われていると言う嘘を付き、それが翼達四人だと思わせた。
そして、自分を助ける為に全員を殺して欲しいと訴えたのだ。
