株式会社「C8」






翼の話では、慎也は四階に居た。そんな爆発に巻き込まれたら遺体等残らないだろう。現に、一緒に居た相手方の幹部達の遺体は、肉片がバラバラに飛び散った状態で見つかっていたらしい。

咄嗟に下の階に逃げて爆発の影響が多少軽くなったとしても、至近距離な為あまり意味が無いように思う。三階から下も吹き飛んではいないが被害は大きかったようだ。


あの遺体は本当に慎也なのだろうか?


最悪、五人が遺体に何か細工をしたとも考えられるが彼等を疑うのは良くない。そんな事をする理由も見当がつかない。それに、翼もどちらかと言うとこの件には疑問を抱いている。

幸い、浩子の希望で遺体は警察に引き渡していない。冬真の知り合いに頼んで保管してもらっている。

これは解剖して、DNAなりなんなり調べる必要がありそうだと思った冬真は、すぐに慎也の遺体を調べようと知人の元へ。


しかし、肝心の慎也の遺体はそこには無かった。


消えた理由は簡単な物だった。知人いわく、五人の内の一人が遺体を引き取りに来たと言うのだ。

その人物とは、華山雅(カヤマミヤビ)。メンバーで一番の射撃手。

何故彼女が…。


だがここで、冬真が推測した二つの仮定の内の一つが現実性を帯びた。という事は、もう一方の仮定は成立しない事になる。


慎也はまだ生きている。


何故こんな事をするのかは分からないが、彼はまだどこかにいる筈だ。

遺体を調べられたら何かマズい事があるのだろう、慎也ではないと分かってしまう為に隠したのだ。

恐らく、慎也が死んだと思わせる為にわざわざ五人の目の前で爆発を起こさせた。より多くの人数にそう見せ掛ける事で、彼の死に信憑性を持たせたかったのではないだろうか。

それならば翼の言っていた慎也の発言も、爆弾の事も納得が行く。

ただ、人数が多い方が良いのに何故八代を同行させなかったのかはまだ分からない。


雅は慎也が生きている事を知っている?


冬真は雅に連絡を取った。電話にはすぐ出たが、彼女はおかしな事を口にした。



『はぁ?何言ってるのよ…あなたが無理矢理私に頼んで来たんじゃない。遺体を調べたいからって。指定された場所に運んだし、ちゃんと報告もしたでしょ?もうこれ以上慎也の事を思い出させないでよ、辛いんだから!』



――俺が遺体を運ぶように頼んだだと?



当然、冬真にそんな心当たりは一切無かった。