株式会社「C8」





『ここは危ないっ!爆弾がしかけられてる!お前等五人一旦外に出ろ!俺もすぐに出る!』



もちろん五人共そんな事は知らなかったし、作戦会議でも聞かされていなかった。相手方の幹部から聞いたのならそこに居合わせた全員にも聞こえていた筈。

それよりも前に知っていたならわざわざそんな危険な所に入る事が間違っている。それに何故、五人にそれを話していなかったのか。

又はその場で爆弾を見付けた可能性もあるが、翼は爆弾処理のスペシャリストでもある。その場にあったのなら気付かない筈がない。誰よりも先に見付けられた筈だ。


まさか、慎也は死ぬつもりだったのか?


それは無い。彼はポジティブ馬鹿だった。そんな男が自殺なんて有り得ない。遺書らしき物も見つかっていないのに。

慎也が死んで、改めて冷静になって考えてみると気になる発言もあったと言う。

長野へと移動する時、冬真と同様に不思議に思った翼は、六人は多いのでは無いかと慎也に意見した。すると彼はこう答えた。



『多い方が都合が良いんだよ。』



この時はそれほど厄介な抗争なんだとしか思わなかったそうだが、今思えば何か引っ掛かる言い方だったと思う。

この時点で、冬真の脳裏にはある二つの仮定が生まれていた。だが、それはまだ憶測にすぎないので次の疑問点について考える事にした。


慎也の遺体について。


彼の遺体は見るも無惨な肉の塊と化していて、とても慎也だとは判別できそうになかった。

それを彼だと断定付けたのは、腕に焼き付いて残されていたブレスレット。これも焦げていていたが、浩子とお揃いの物だった為に皆が彼の物だと分かった。

それともう一つ、背中の傷痕。

慎也は昔、依頼遂行中に日本刀で背中を斬られた事がある。それを治療したのも冬真で、随分深い傷だった。

爆発で損傷の酷い遺体なのだが、その傷痕が微かに残っていたのだ。

その二つが慎也だと断定した理由。

しかし、良く考えてみればこれもおかしい。

五人の話だと、爆発はかなり大きな物だったと言う。六階建ての廃ビルの三階から上が全て吹き飛び、慎也の指示で廃ビルから出ていた彼等も爆風によって数メートル吹き飛ばされて少し怪我をしていた。