片方の暴力団に雇われ、相手方の組を全滅させるという内容で莫大な報酬金が出た。
彼等から見せてもらった依頼書にも、聞かされた通りの事が記載されていた。
そして、兄を守れなかった事を悔やんだ五人はそれを機に「C8」を辞めていった。
この時点で明らかにおかしな点がいくつもある。が、浩子は兄の死に絶望し、とてもそれどころでは無かったのだ。
しかし冬真は慎也の死に悲しむと同時に、不信な点に気付き疑問を持った。そこで独自に調査を始める。
まず、依頼を担当する人数の多さ。
冬真は同行しないにしても、事前に慎也から依頼については聞かされていた。事務所に残る人間として彼等にもしもの事があった場合、後の事を任せられるように。
依頼の内容については間違っていない。だが、六人も行く必要は無かった筈だ。組の全滅と言っても、クライアント側の組も抗争に参加している訳で、実際に慎也達が狙うのは相手方の幹部や頭と言った上層部だけだからだ。
人数で言えば頭を含めて八人。それなら慎也を入れても三人いれば十分…。残党の数を見越していたとしても、クライアント側があらかた数を減らす事くらい考えられるだろう。
同行者を決めるのは、クライアントの要望が無い限りは慎也。その時も特に要望は無かったと聞いた。
何故、六人も連れて行く必要があったのか。
そして何故、八代は連れて行かなかったのか。
非戦闘員の冬真は分かる。が、八代はバリバリの戦闘向け。ここの差別化も分からない。
考えられる事と言えば、八代はチンピラだった頃に暴力団と繋がりを持っていた事くらいだが…。
用心深い慎也の事だ。散々派手に暴れていた八代の事を知っている奴がいたら面倒な事になるとでも思ったのだろうか?
しかし依頼は長野県での抗争だ。都内の暴力団ではない。
辞めていった一人一人に連絡して聞いてみても何故か皆口を閉こうとしなかった。慎也の死が相当ショックだったのか、触れられたくないらしい。
だが、一人だけ妙な事を言う奴がいた。
瀬藤翼(セトウツバサ)、八代を「C8」に引き入れた人物。元殺し屋の人間だ。今の八代の髪型やサングラスは翼の真似だったりする。
彼が言うには、慎也が爆死する直前、廃ビルで相手方の幹部の人間と激しい乱闘があったのだが、何故か慎也はその廃ビルに爆弾が仕掛けられている事を知っていたと言うのだ。
