株式会社「C8」








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浩子には年の離れた兄がいた。

夜切慎也(ヤギリシンヤ)、享年32歳。

浩子が生まれてすぐに両親は他界した為、実質慎也が浩子の父親のような物。

この組織は元々七年前に慎也が作った物だった。事務所も今とは違う場所に構えていた。きちんとしたマンションがあったのだが、二人は居心地の良い事務所で寝泊まりする事が多かった記憶がある。

当時の浩子は15歳を迎えたばかり。兄が大好きで、依頼には着いて行けないものの事務所に居座り、慎也にベッタリだった。

そして、その開業当時から一緒に居たのが当時18歳の八代と、兄の親友である冬真。

その頃の八代はただのチンピラだったのだが、酷く荒れており喧嘩が異常に強いと有名だった。そこに目を付けた当時のメンバーの一人が、八代を「C8」に引き込んだのだ。

多少ゴタついた物の、八代はメンバーの人間と関わる事で次第に変わって行ったようで、今ではすっかり仲間思いのムードメーカーだ。

他にも浩子を覗いた「C8」のメンバーは個性が光る変わり者ばかりで、皆慎也を慕って集まっていた。必然的に彼等とも親しくなった浩子は、兄だけでなくメンバーの皆が大好きだった。



そして三年前。浩子が19歳の時、悲劇は起きる。

過保護な兄に散々甘やかされてきた浩子は、精神的に酷く子供でその事実を受け止める事が出来なかった。

突然告げられた兄の死。

死因は爆死、遺体は慎也の物だと判断出来ない程原形を留めていなかった。

依頼遂行中に何かあったらしい。

心配性の兄は、浩子を「C8」に入れる事を強く拒んでいた為、浩子は格闘技や射撃を教わる事以外何もしていなかった。

それ故に、彼女は何故慎也が死んだのか、その時の依頼がどんな物だったのか…何一つ知らなかった。

ただ、その時兄が担当した依頼はいつもと何かが違う事には気付いていた。

今まではどんな困難な依頼でも一つの依頼を四人以上で遂行する事は無かったのだが、その時は八代と冬真を除くメンバー全てがその依頼を担当する事になっていたのだ。

余程困難を極める内容だったに違いない。

無事に依頼を完遂して帰ってきた五人のメンバーは口をそろえてこう言った。


『敵と抗争の末に爆死した』と。


彼等によると依頼の内容は、他県の暴力団同士による抗争。それもかなり大規模な物で、ニュースや新聞でも話題となった。