そこまで分かれば、此方はすぐに立間を暗殺しなければならない。相手が組織ならば不利になる為少々手荒でも意地を通す。八代によって彼女を外へ連れ出し、着いてくるSPもろとも殺す。そして本物の彼女のパソコンから新薬のデータを学に渡し、依頼完了。
だが、これでは余計な死人を出さないと言う浩子の意思に反する結果になってしまう。出来ることなら避けたいところ。
もう一方で、単独ならばCHM潜入は厳しい為、どうにかして彼女からパソコンを持ち出すように仕向けて来る。しかし、それもダミーのパソコンによってデータの抜き取りを阻止。
本来は奪った物の確認をしてからでないと対象は殺さない。もしそれが偽物であった場合、本物の有りかを知るのは対象だけだからだ。だが、らちが明かないとなれば黒野は先に彼女を殺してからデータを奪う筈。
単独で彼女を殺すなら誕生日パーティーと言う大勢の目眩ましがいる機会を置いて他に無い。普段はSPに守られているし、一人で無闇に殺しても単独では警察に足がつく可能性が高い。
つまり、黒野が単独ならば最終的にパーティーで彼女を殺し、その足で社員が誰もいないCHM社に向かい、直接データを奪おうとするに違いないと言う事だ。
此方が先に立間を殺害し、黒野がそれを知ってすぐにCHMに行こうと、もちろん彼女のパソコンはダミー。
「黒野京介」の企みは失敗に終わる。
「皐月、火曜の夜奴等がどこで接触するのか、盗聴器のチェック怠んじゃね-ぞ。社長が現場張るんだから。」
「…八代、それって君が立間に聞くべきことだったんじゃないの?」
「馬鹿、そんな細かい事まで聞けるか。怪しまれるだろ-が。……けど、飲みに行くって言ってたしバーじゃねぇの?あの外見で居酒屋はねーだろ。」
「……ともかく、黒野が単独と判明したならパーティーの当日まであたし達は別行動ね。」
浩子は火曜の夜、ターゲットと黒野が接触をするにあたって二人を監視、更には黒野が一時的に寝泊まりしている拠点を突き止める為の尾行。黒野が単独で動いていた場合は当日まで彼が妙な動きをしないか、拠点付近を見張る必要がある。
