株式会社「C8」





「で、その橘って言う人の話を聞いてると自分が情けなくなったって?」



午後四時を過ぎた事務所の二階。エアコンは相変わらず故障しているので、室内はかなり暑い。

浩子はクーラーの効いた三階で涼んでいる。

コンビニで買ってきたと思われる炭酸は、既に冷たさを無くし常温の飲み物へと変わっていた。八代は構わずそれを飲み干し、ソファーでうつ伏せに寝転んだ。



「スゲー良い人なんだわ…。」


「うん、そうだね。」


「俺ってこう言う所ピュアだよなァ~!」


「…自分で言っちゃう?」



苦笑いを漏らす皐月は自身のパソコンと向き合い、盗聴器をチェックしている。だが、これといって特に気にする内容は無い為退屈そうに八代の話に耳を傾けていた。

彼の話もまた、何回も聞くような内容で面白いわけでは無いが共感できる事なので相槌は打つ。



「……あの糞社長が異常に冷めてるだけなんだよ。割り切るって何だ、俺はプロだが心までは殺せね-ぞ。」


「ここにはそんなプロがゴロゴロいるけどね。でも…浩子さんはホラ、あんまり人との馴れ合いを好まないから。」


「仕事以外では全然絡みね-もんなァ。」


「…いや、僕達が絡みすぎなんだよ。」


「何だ眼鏡、もう遊んでやらん。」


「………いつも八代から誘うくせに。」



年が離れている彼等が普段一体何をして遊んでいるのかと言うと、大体が八代の自宅でゲームをやり込むと言うワンパターンな感じだ。

二人は「ゲーマー」としても話が合うのだ。新作のゲームが出るとなれば、即予約買いし二人して徹夜でゲームを楽しむ程。メンバーの中でも「ゲーマーコンビ」と名前が付いていたりする。

そしてそんな二人とは違う浩子。

彼女は仕事上での相棒はいるが、それはあくまで「仕事」。プライベートの彼女を知る者は誰もいない。メンバーの誰かが企画した飲み会だとか、イベントだとか一切そう言った物に参加した事も無い。

以前、八代がそれについて不満をぶつけた所彼女は、



『一人が好きなだけ。それに、賑やかなのは苦手なの。』



と、バッサリ言ってのけた。

八代は社長がそんなんでこの先やっていけるのかと、本気で悩んだ事もあったのだが仕事は完璧にこなしているし、メンバーを上手くまとめているのでそれについては今はもう何も言わない。