株式会社「C8」





その後、彼女を自宅近くまで送り届けすぐに橘へ電話を掛けた。



『桜井君?どうしたの、こんな時間に。』


『夜分すみません副室長、俺どうしても希美さんの事が気になって…。』


『う-ん、僕に言われてもね。でも彼女はやめておいた方が…』


『いえ、ただどのくらいライバルがいるのか知りたいんです。男が沢山いるって言ってましたよね?』


『ああ、それね。まあ副室長として彼女の近くにいるから何人かは分かるよ。』



橘の話によると、のろけ話に付き合わされて彼女から聞く男の名前や、電話での会話から聞こえた相手の名前なら把握しているとの事。

そこで数名の名が上がった。

CHM社長の風間国彦
セキュリティ会社の篠原一正
都内大学生の水田翔
外国人男性のミカエル
喫茶店店員の大和拓真

そして、銀行員を名乗る黒野京介と言う男。「kuro」の正体。やはり彼女の交際相手の中にいた。

その黒野京介という男の名は一ヶ月前から口に出すようになったと言う。

黒野京介は一ヶ月前から既に彼女と接触していた…。丁度、彼女が学の研究データを取り上げた時期だ。

それを聞いた八代は、落ち込んだフリをして橘との電話を切った。そして事務所に戻ったという訳だ。



「やっぱり。黒野京介は彼女に自分がハトヤマの社員って事を隠してる。」


「よ-し!じゃあ俺は帰んぞ。明日は糞豚のパソコンに細工すりゃ良いんだろ?」


「うん。彼女のパソコンからなら邪魔されずにうまくできると思う。それから、奴に目を付けられるから明日からは社内のみでの接触ね。お疲れ様!」


「了解。眼鏡もほどほどにな!」



八代はドアの音を立てないようにして出て行った。

皐月はすぐにハトヤマ本社に潜入する準備に取り掛かる。セキュリティ会社にアクセスしてハトヤマの警備システムを確認する。ハトヤマ本社にハッキングする訳では無いので黒野の邪魔は入らないはず。

黒野は八代と皐月をハッカーだと思っている為、まさか本社に潜入して自分の履歴書を盗みに来るとは思わないだろう。ハッカーならハッキングによって管理システムから個人情報を調べた方が早いと思うからだ。