「…………ん?」
- 新着メールが一件あります -
携帯では無い。目の前のパソコンの画面にそう表示されている。
皐月のパソコンには五つのアドレスがある。一つは仕事用の物。他の四つは所謂捨てアドという物。何かの時の為にアカウントを作成したのだ。
そして、送られて来たメールの宛先は捨てアドの中の一つのようだ。職場の人間とは携帯のアドレスでやり取りをするし、捨てアド等誰かに口外した覚えは無いのだが…。
誰からだろう…。
ウイルスが添付されている危険もあるので、慎重にメールを開く。
▼ 未読メール一件
差出人:不明
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タイトル:kuro
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お前達は何者だ
何の目的で動いている
END
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「!!……くろのきょうへい?」
このパソコンにハッキングして来た際に、捨てアドを盗まれたらしい。完全には防ぎきれていなかった。まぁ、捨てアドからは何も探知はできない。また違うアカウントを作成すれば良いだけの事だ。
奴は「お前達」と断定している。やはり、八代と二人で二重アクセスした時に気付かれていたのだ。
皐月はともかく、八代はあまり目立った行動が出来なくなった。立間希美の周辺を調べられたらすぐに八代が睨まれるだろう。「kuro」に自分達の存在を知られた今日、八代は彼女に近付いている。裏付けには充分な理由だ。
奴が単独なのか、何かの組織に入っている人間なのかが気になる。単独ならこちらが有利。組織の人間なら、すぐにでも立間を殺す必要がある。今、此方には三人しかいないのだ。
ところ構わず瞬殺してくれるスナイパーは別件の依頼で不在。その為、浩子は慎重に計画を立てている。ターゲットのガードが固い今、何の情報も無しに迂闊には行動できない…。
もし単独なら、必ず六日後のCHM本社社長の誕生日パーティーという絶好の機会を狙うはず。此方の考え方と同じで、参加者に紛れることで逃走できる確率が高いからだ。しかし、共犯者がいるならパーティーに紛れてでも良いが自分達の存在に気付いてしまった以上、研究資料が整い次第すぐにターゲットを始末する筈。
立間希美のパソコンにハッキングをした事から、恐らく奴は此方の目的が研究資料なのだと思っている。もちろん、研究資料は学に返す物なので間違ってはいない。
