カタカタカタ…
カタカタカタ…
ありとあらゆる抜け道を遮断すべく、自身のパソコンの回路を駆け回る。奴よりも早く。策を読み、先回りして。
悪性のウイルスもすぐに取り除いた。
「kuro」のアクセスコード(本人の使用しているパソコンのアクセスコード)の尾が見えてくる。
「c-hatoyama.……?、ハトヤマ本社からハッキングしているのか?」
そのまま追い詰めて残りのコードを明かすべく、抜け穴の遮断を続ける。もうほとんどは塞いだ。これは皐月のパソコンだ。いわば、彼の領域。普段から念のために仕掛けているトラップを作動させた。
それと同時に、「kuro」の回りをバリケードが取り囲む。奴も焦っているのか、バリケードの破壊が雑だ。その隙をついて此方からも悪性のウイルスをぶつける。
「…………どう出る?」
一瞬奴の動きが止まった。だが、すぐに
ウイルスを破壊し足掻く。
どうやらウイルスによる攻撃は効かないらしい。わざわざ会社のパソコンにハッキング用のウイルス破壊プログラムをインストールしている様だ。
自分のパソコンでなく、会社のパソコンから此方にアクセスしたのは良い選択だ。ハッカーにとって、自分のパソコンをハッキングされることは死に近い。
「……でも、僕の勝ちだよ。」
もう「kuro」に動きは無かった。現実で言うところの、身体をいくつもの壁で押し潰されている状態だ。
流石にこれを抜け出すことは出来ないだろう。
「……74-kyouhei.kurono………。」
くろの きょうへい
このパソコンの名義…。
くろの……「kuro」……。
少し単純過ぎる気もするが…。
「……この人物、調べてみないと。」
カタカタカタ…
皐月は、捉えた「kuro」を電子回路から抹殺する。電波回路を通じて強制遮断プログラムを作動した為、彼のパソコンはもう使い物にならない筈だ。
USBを抜き、一旦デスクトップに切り替える。すぐにでもハトヤマの社員名簿から、「くろの きょうへい」という人物を探したいのだが、今ハトヤマの管理システムへハッキングするのは危険だろう。「kuro」が次に予測されるであろう出来事に対策をしているに違いないからだ。
それに、本人もコードを確認された事くらい把握している筈。これ以上は自分一人では無理だ。
