彼女の名は華崎由姫乙(カザキユキオ)、29歳。
身長162cm、体重48kg
1985年1月11日生まれ、AB型
セミロングの銀髪と褐色の肌が特徴で、露出の多い服を好む為スーツの着用は拒否。
主に担当する依頼は心霊現象、占い、極稀に護衛の依頼もこなす。
組織での役割は、メンタルケア。
特技は読心術、少林寺拳法(師範級)。
本業は占い師をしており、かなりの著名人。副業として『C8』に所属。いつも水晶を手に持っている。
「では、客室の一室をお貸ししますわ。家の者にも伝えておきますから室内のバスも御自由にどうぞ。案内して差し上げます」
由姫乙は欠伸を一つ落とし、広い屋内を先導して尊と夏芽をエントランスホールから客室へと案内した。客室と簡単に言っても、まるで高貴なホテルのスイートルーム。それがいくつも並んでいるのだから本当のホテルのようだ。
高価な絵画や骨董品が並ぶ廊下の窓からちらりと外を覗くと、庭園の反対側に自家用ジェットと滑走路がある。
尊はスーツを着用していても、常に和を重んじる心があり、神社のしきたりに沿って生きて来た。洋風に染まるこの邸宅に来る度、その全てが新鮮に思えてしまう。
後ろを付いて回る夏芽も生前はそれなりの邸宅に住んでいたのだろうが、ここまでの豪邸は珍しいようでキョロキョロと辺りを見回している。
「由姫乙さん、あの――」
「神城、下の名前で呼ばないで下さいと何度も言った筈でしょう。只でさえ寝ているところを起こされたのですわよ?少しは弁えなさいな」
……やはり、嫌悪は抱いているのかもしれない。
彼女は自分の名前を酷く嫌っている。漢字はともかく、男の名前のようで小さい頃から同級生の人間に色々と言われて来たらしい。
そんなもの、別に気にする必要は無いと思うのだけれど彼女はそういう事に人一倍敏感のようだ。
いつも大事そうに手に抱えている水晶体。それを通して相手の心を読み取る読心術も、最初は自分が他人に傷付けられるのを未然に防ぐ為に会得したらしい。
今では、そんな卑屈な自分を鍛える為、少林寺拳法にのめり込んでいると、八代が話していたのを聞いた覚えがある。
「で、何ですの?」
「いえ、最近あまり事務所の方でお見かけしていませんでしたので…。テレビでは良く拝見していたのですが、本業の方が御忙しいのですか?」
