無線機の向こうから『せーのっ!』と、合図が出る。それと同時に八代はコード入力のみに集中した。だいぶ負担が無くなったと思う。これなら大丈夫だろう。
後はコード入力しながら監視カメラの専用コードを探すのみ。
女性用ロッカールームの監視カメラの個別製造番号は「00256864」、これも学情報だ。
この番号の欄に専用コードが記載されているはず。
やがて、管理システムの最奥に到達した八代は分岐地点からCHMの専用管理システムへ侵入する。
『八代!バリケードを全て破壊した。僕は外部操作をした奴の特定に移る。』
「了解。」
カタカタカタ…
未だ倍速トラップが作動している為、コード入力のスピードは早いままだが少し余裕の出来た八代は無線機の向こうにいる彼にどうして連絡をよこしたのか尋ねた。
『依頼片付けて事務所に戻ったんだけど、浩子さんから調べて欲しい人物がいるってメールが来たんだよ。』
「……それで?」
『今八代達がやってる依頼のターゲットの家に、CHMの社長とは別の男がいたらしくて…。送られてきた写メで顔は分かったからすぐ調べられたんだ。』
カタカタカタ…
カタカタカタ…
『それが、僕達が今ハッキングしているセキュリティ会社の重役でね。彼女が不在の家に居て堂々とテレビなんか見てるあたり、相当親しい仲なんじゃないのかな。』
「立間希美は独身だぞ。」
『だから、恋人って考えが正しいのかも。CHMの社長とは金目的で付き合ってるだけだろうし。でまぁ、八代が昨夜このセキュリティ会社にハッキングするって言ってたから、敏感になってるターゲットがこの重役に言って手を打ってるかもしれないって思ったわけ…。現に自宅のセキュリティは完璧だったらしいよ。浩子さんが潜入に手間取ったって言ってた。』
成る程。となると立間希美が普段使っているこのロッカールームの監視カメラと同様に、研究室のカメラにも管理システムを通してトラップが作動するようになってるって訳か。
ん?待てよ?それじゃあ…
