蓮杖探偵事務所の飄々事件簿

と。

「何だ…探偵事務所ってのは賑やかなんだな」

長い前髪で瞳が隠れている青年が入室してくる。

南部 夏彦だ。

「おい、入室は許可してないぜ?」

「ノックはしたさ、返事がないんで勝手に失礼した」

耕介の言葉に応じる夏彦。

どこかこの二人は仲が悪い。

「で…」

椅子に座ったまま机の上に行儀悪く両足を上げ、耕介は仰け反る。

「雁首揃えて何の用だ?依頼って言うんなら態度を改めるが」

「依頼ではないですけど」

冴子が手にしたショートケーキの入った箱をヒョイと持ち上げる。

「先日の事件では世話になった…実質命を助けられたんでな」

夏彦は某フライドチキンのパーティーバーレルを買ってきていた。