仲間を殺害されたリーダーが始めたのは、何と仲間を射殺した敵兵の勧誘だった。

PMSCsのコントラクターは欧米など先進国の軍出身者も少なからず存在するが、フィジーやネパール、フィリピン、南アフリカ、コロンビア、ボスニアなどの、近年まで内戦や紛争状態にあり、実戦経験者が豊富な貧困国から送られている割合が多い。

ネパールのグルカ兵が民間軍事会社で働いた場合の給料は月給1000ドルほどであるが、ネパールの公務員の平均年収が1300ドルである事から考えると月給1000ドルという給料は彼らの所得水準から見ると大変に高額である。

この為、貧困国の兵士にとっては民間軍事会社のコントラクターになって得る給料は普通に働く場合の10倍以上にもなり、一攫千金を夢見るに十分な額である。

逆に日本などの先進国の国民から見れば一般企業の賃金と大差のない、もしくはそれ以下の給与水準であり、危険性に比して薄給で、日本人が民間軍事会社で就労しても大金を稼げるとはいえない。

実際に過去にイラクで死亡した日本人コントラクターの年収は四百数十万円程度で、軍歴が長く下士官であった事から考えれば先進国の正規軍と変わらない報酬である。

この為、民間軍事会社の給与は裕福な先進国の国民から見れば安く、貧困国の国民から見れば高給という事になっている。