この自治区の住民達は、銃を持つ者を酷く恐れていた。

どこの国の人間でも銃は恐れるだろうが、この自治区の住人達はもっとリアルに銃の恐怖を感じているようだった。

銃を持つ人間が、いつどこで自分を撃つか分からない。

そんな状況が生活の一部として存在しているというか、現実味を帯びているというか。

日本ならば、強盗に銃を突きつけられるなどというのは余程運が悪くなければ遭遇する事のないシチュエーションだが、このアフリカの自治区では日常的にそんな場面に出くわすのだ。

それだけに、一度省吾がこんな行為を見せておけば、住民達は二度と彼の車に手を出そうとは考えないだろう。