戦場から帰ってきた兵士の多くが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥るという。

戦闘ストレス反応とも呼ばれ、攻撃行動の衝動、アルコール依存、不安、無感動、疲労感、飲食障害、集中力低下、記憶障害、鬱、嘔吐、自己嫌悪、言語障害、現実逃避などをもたらすという。

友人達の手足が一瞬にして吹き千切れるのを見、捕虜になり閉じ込められるなどして孤立無援状態におかれたり、一瞬にして吹き飛ばされ殺されるという恐怖から気を緩める暇もないという極限状況が、屈強な兵士の精神さえ蝕むのだ。

先程の少年のような幼い者が戦場に置かれる事が、どれ程の悪影響を及ぼすのか。

省吾には想像さえつかない。

ましてや既に精神的に不安定になっている者が、更なる戦場での行動を強いられているとしたら…。

かつて鬼の形相で省吾と銃火を交えた、アリッサのあどけない顔が浮かぶ。