「あっ、あのっ!」

冴子が運転席の省吾に声をかける。

「助けてくれて有り難うございました、それから…誘拐犯と勘違いして疑っちゃってごめんなさい」

「気にする事はない…こんな裏稼業だ。他人に白い目を向けられるのは慣れている」

そう言った省吾の言葉は他意のないものなのだろう。

笑みさえ浮かべていた。

「無事でよかった。お嬢さんも少し自分の身分を自覚する事だな…あんたみたいな金持ちの娘を狙う奴は、ゴマンといるからな」