そうでなくても相手は空中から狙い撃ってくる。

地べたを走っているこちらは圧倒的不利だ。

「省吾!」

「ああ」

耕介の声に、省吾は冷静なまま返事する。

「立体高速に入るぞ」

複雑に入り組んだ道路が張り巡らされている立体高速。

高架下を通過したり建物の死角になったりして視界を遮られる事も多く、アパッチからは狙いを付け辛い筈。

時速100キロオーバーで一気にランプを駆け上がり、急勾配、急カーブの立体高速を、ドリフトしながら走行するBMW735i。

ちょうど高架が盾となり、アパッチは射撃に躊躇する。