辛うじて呼吸が出来る隙間が作られていた程度で、キャリーバッグの中は暑く息苦しかったに違いない。

冴子は頬に張り付いた黒髪、呼吸でうっすら曇った眼鏡のまま、耕介達を見上げる。

「…知り合いか」

省吾が硬い表情のまま言う。

「…ああ…ウチの事務所に出入りしている女子高生だ」

同じく硬い表情のままの耕介。

最近事務所に顔を出さなくなったと思ったら…。

「そりゃ何プレイだ、冴子…」

「ん゛ーーーーっ!」

耕介の言葉に、冴子は抗議した。