蓮杖探偵事務所の飄々事件簿

ハンドルを握り締めつつ、省吾は考える。

邪魔が入るのは想定内だが、やはり荷物の中身は人間らしい。

あの賞金稼ぎ…夏彦が、省吾の事を『誘拐に加担している』と言い切ったのが何よりの証拠。

おまけに街中でアサルトライフルまでぶっ放す羽目になってしまって。

これで警察に追われる事にもなるだろう。

厄介な事になってきた。

ルートを変え、一時間ほど走った頃だろうか。

「!」

BMW735iの前に突然飛び出してくる人影。

省吾は慌てて急ブレーキを踏む。

「危ねぇな!カミサンの顔が脳裏をよぎったよ!」

飛び出してきたのは耕介だった。

「それはこっちの台詞だ」

言いつつ助手席のドアを開ける省吾。

耕介を乗せ、BMW735iは再び走り出した。