運び屋の仕事というと、猛スピードで車を走らせ、カーチェイス宛らの運転で荷物をデリバリーするというイメージがあるかもしれない。

しかし、省吾は実にセイフティドライブだった。

制限速度を遵守し、信号が黄色の時には停止し、車線変更の時には確実にウインカーを出し、道を譲ってもらった時にはハザードを忘れない。

まるで近所に買い物にでも出かけるような安全運転だ。

「今から三時間以内に荷物を港に運べばいい。何も急ぐ必要はない」

周囲の車の動向に気を配りながら運転する省吾。

「寧ろ不必要にスピードを出して白バイにでも捕まって、積荷の詮索をされる方がよっぽど面倒だ」