殺気とはまさしくこの事だ。

目の前に立つ耕介の全身から放たれる禍々しいまでの気配に、サハクィエルは壮絶な笑みさえ浮かべた。

「いいわよ…いいわ貴方…飄々とした態度の裏には、そんな本性を隠していたのね」

「…ああ」

サハクィエルの言葉を拒絶する事なく、耕介はあっさりと肯定する。

自分が殺人者である事。

過去に不慮の事故とはいえ、罪もない少女を殺してしまった事。

そして自分には、人を殺せるだけの技術も力もある事。

耕介に足りないのは覚悟だけ。

人を殺し、その事実を受け止めるだけの覚悟。

その覚悟も今、彼の中には生まれた。

理性をかなぐり捨て、心を闇に沈めてサハクィエルを殺害する覚悟…。