呑気にエレベーターを待っている気はない。

耕介は非常階段を利用して、ビルの屋上へと上がる。

体力には自信がある。

汗びっしょりになったものの、一気に屋上に駆け上がった耕介。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

息を弾ませながら、屋上をグルリと見渡す。

端まで移動して眼下を見下ろすと、確かにここからホテル入り口が見える。

この場所から狙撃手は狙撃したのだ。

タクシーから降りてきたジェシカと耕介を狙って…。