そんな事務所のドアが、ノックされる。

「……」

まどろみから引き戻された耕介は、アイマスクを額に押し上げる。

どうせ夏休みで暇を持て余している俊平か雛罌粟だろう。

午前中から遊びに来るとは結構なご身分だ。

こっちは仕事中だというのに…寝ているが。

放っておけば勝手に入ってくるだろう。

そう思って惰眠を貪るが、ドアは再びノックされる。

「……うるせぇな、開いてるよ」

機嫌悪そうに返事する耕介。

ややあってドアは開き。

「…お休みの所、申し訳ありません」

恐縮そうに聞こえてきた女性の声に、耕介は飛び起きた。

「蓮杖探偵事務所で、間違いないかしら?」