蓮杖探偵事務所の飄々事件簿

「正直…」

白髪頭をガシガシ掻きながら、徳さんは言う。

「蓮杖、おめぇが私立探偵なんてやってんのは勿体ねぇな…腕っ節もいいし、頭も切れる…俺はおめぇさんがSATや…何なら捜査一課にいるのが一番いいと思うんだがなぁ」

「……」

無言のまま、やや俯き加減になる耕介。

「徳さん…俺ぁ…」

「いや、いい」

耕介の言いかけた言葉を、徳さんは制した。

「おめぇさんが警察を辞めた理由は俺だって知っている」

「!」

徳さんの言葉に、雛罌粟がハッとする。

「あれは仕方のねぇ事だったんだ…って言うと叱られるかも知れねぇが…おめぇさんが気に病む事じゃねぇと思うんだがな」

「……」

耕介は無言のままだ。