夕闇迫る路地裏。

呼吸を乱して走る雛罌粟。

走って、走って、ひた走って。

息が続かなくなって、壁に手をついて呼吸を整える。

じっとりと汗を掻いているのに背筋は冷たかった。

こんな汗を掻くのは初めてだ。

少し呼吸を整えたらまた走らないと。

そう思っていた雛罌粟は。

「!!!!」

アスファルトを擦るククリナイフの切っ先の音で、乱れた呼吸を止めてしまう。