なのに。
『今すぐ行く』
圭さんは戸惑いもなくそう言った。
「えっ?・・・今すぐって・・・もう電車もないし・・・圭さん、今どこにいるんですか?」
自分で『会いたい』って言ったくせに私の方が慌ててしまう。
『今は東都大病院。大丈夫、すぐに行くから待ってて』
圭さんは真面目な声のまま、いつもと違う雰囲気で、少し強引にそう言った。
どうして圭さんが職場である東都大病院にいるのか・・・疑問だったけれど、圭さんの少し強引な言葉に圧されるように、私は『はい』と小さく答えた。
『電話、切るけど。すぐに行くから・・・ちゃんと待っててね』
そう言った圭さんの声はさっきよりもずっと優しく聞こえて、私はそれだけで心が甘く痺れてしまう。
・・・・・重症だ。
そう思いながら、私は通話の切れた携帯をしばらく見つめていた。

