~♪~♪~♪~
真っ暗なリビングでまたボーっとしていた私は、手の中の携帯から突然鳴り響いた着信音にビクリと肩が震えた。
ドクドクと痛いほど速く心臓が鼓動し始める。
私は恐る恐る携帯の画面を確認して、そこの表示された名前にドクンっと一際大きく、鼓動が鳴った。
「圭さん・・・・・・」
私は一瞬、怖いと思ってしまった。
時間はすでに1時過ぎ。
私があの場を逃げ出してから、3時間あまり。
その間に二人は何をしていたのだろうか。
何か特別なことがあったの・・・?
何を告げられるの?
鳴り止まない着信音をうわの空で聞きながら、私は悪いことしか浮かんでこなくて、電話に出るのが怖くて仕方なかった。
携帯とにらめっこしているうちに、ぴたりと着信音がやむ。
「あっ・・・」
自分で出なかったくせに、着信が途切れたことがすごくショックで。
私は苦しさに眉をぎゅっと寄せて、携帯を握りしめた。
でも・・・
~♪~♪~♪~
またすぐに手の中の携帯が震えて、着信音が響いた。
繋がらないまま諦めないで、すぐにかけ直してくれた圭さん。
それだけのことなのに、嬉しいと思ってしまう。
圭さんが私との繋がりをまだ持とうとしてくれている。
そんな身勝手なことをまた願ってしまう。
でも、今、鳴ってる携帯は幻なんかじゃなくて、現実だから。
諦めてしまわない圭さんを信じたいと切望しているのは、私自身だとはっきり自覚する。
私は深い溜息を吐き出して、決意するように携帯の通話ボタンを押した。

