【side 圭】 仕事帰り。 駅の構内で僕の前を歩いていた女の子が、何かに滑ったように躓いた。 思わず手が伸びて、彼女を支えるように抱きかかえた。 「大丈夫?」 僕の腕の中でびっくりする彼女にそっと声をかける。 驚いて固まる彼女の顔を覗いて、僕の方が固まった。 ・・・・・ずっと心の中で思い描いていたキミだったから。 心の中で思い続けたキミが今、目の前にいる。 僕の腕の中にいる。 これは僕の都合のいい夢のなのかな? それとも―――…