「仕事の邪魔してごめんね。午後も頑張ってね」
そう言って僕は軽く手を振って入口へ向かって歩き出した。
「圭さんっ」
その僕の背中をあいが呼び止める。
『なに?』と言葉にせずに振り返ってあいに笑顔を向けると、あいはなぜかとても真っ赤な顔をしながら、恥ずかしそうに早口で言った。
「会いに来てくれて嬉しかったです。圭さんも午後のお仕事頑張って下さい」
「・・・・・ありがとう」
あいの懸命な表情もセリフも嬉し過ぎて、僕を幸せな気持ちで満たすのに十分で。
僕は自然と溢れる満面の笑みであいを見つめて、図書館を後にした。
恥ずかしそうな真っ赤な顔も、『嬉しかった』の言葉も。
あいのすべてが可愛くて愛しい。
心に湧くその温かな想いは、今までの記憶の中だけのものではなく、こうしてしっかりと実感できる。
今、確かにキミは僕の目の前にちゃんと存在している。
そのことが僕は何より嬉しかったんだ。

