でも返ってきたあいの返事は、心配事を伝えてくれるものではなくて。
「大丈夫です。お昼を食べたばかりで、午後、眠たくなるなって思ってただけですから」
そうはぐらかされたことが、少し寂しかった。
僕に気を遣ったんだろうけど、あんなに大きな溜息の原因を、あいの心配の種を取り除いてあげたいなんて、身勝手だろうか。
でも、誰よりも幸せに笑っていてほしい人だから。
僕が、幸せにしてあげたい人だから。
「そっか・・・でも何かあったら相談してね。あいの心配事は僕が取り除いてあげたい」
僕はそれ以上は訊かずに、それでも真剣な顔で本音を呟いていた。
「圭さん・・・」
そんな僕の言葉にあいが照れたみたいに真っ赤になって、「はい」と小さく頷いた。
さっきのように無理した顔じゃなくて、嬉しそうに頬を赤くするあいに僕もホッとした。
「圭さん・・・今更なんですけど、どうしてここに?」
ホントに今更な質問をするあいが可愛くて、僕は顔が無意識に緩んでしまう。
カウンター越しのあいに更に近づいて、僕は彼女の耳元へ小さく囁く。
「もちろん、あいに会いたかったから」
それに真っ赤な顔で瞬きをして、僕を見つめるあいの予想通りの反応に嬉しくて、つい口角が上がる。
「昨日言ったでしょ。不意打ちで来るって」
あんまり可愛いから、自然と笑い声が零れた。
「午前の診察が長引いて、やっとお昼休憩を取れたから。あいに会いたくて来たんだ」
言いながら、さすがに照れてしまって。
あいの赤い顔が伝染したみたいに僕の顔もなんだか熱い。
いい年して・・・照れるとか、恥ずかしい。
でも次のあいの言葉を聞いて、それも吹っ飛んだ。
「・・・嬉しいです」
顔を真っ赤に染めたまま、でもちゃんと僕の目を見て言ってくれるあいが無性に愛しくなった。
可愛すぎるだろ。

