『でも圭先生・・・研修医の時は付き合ってた人いたでしょ?』
(―――…え?)
“付き合っていた人がいた”その言葉に、お箸で摘まんでいたお漬物を落としてしまった。
『ああ、確か同じ研修医の先生だったよね。でも数か月で別れたらしいじゃない?やっぱり院内恋愛は難しいんだよ』
『そうなのかなぁー』
『まあ、院内恋愛がOKだって、あんたじゃ無理だろうけどね』
『ひどい!・・・ってそれくらいわかってるけどね』
私の隣で大げさに落ち込むその女性は、大きな溜息を吐いて、それを呑みこむようにぐっとスープを飲み干した。
そして、次に聞こえてきた一言が、更に私の心に溢れていた嫌な痛みを大きくした。
『だって、圭先生が付き合ってた研修医の先生・・・超絶美人だったもん』

