「想像以上にあいさんにベタ惚れね」
「そりゃあ。ずっと探し続けていた特別な人だからね」
「・・・はい、ご馳走様」
まったく言い淀むことなく、当然とばかりに言い放った圭さんに、北野さんは苦笑いを浮かべた呆れ顔で、呟いた。
その後、3人でしばらく世間話をして、圭さんの休憩時間が終わる少し前に私達は食堂を後にした。
「せっかくの2人の時間を邪魔してごめんなさいね。でもあいさんとお話しできて嬉しかったわ」
別れ際、北野さんが私に笑いかけながら言ってくれた言葉に、私も笑い返しながら頷いた。
「私も楽しかったです」
これは私の本音。
私の言葉に北野さんはとても嬉しそうに笑ってくれるから、私の北野さんへの蟠りはもうほとんど消えていた。
「じゃ、矢野君にもよろしく」
「アイツにも直接報告すればいいのに」
「嫌よ。矢野君って遠慮も何もないし、すぐ怒るんだもん」
「それは北野が悪いんだろ?」
本当に嫌そうな顔をする北野さんと、その北野さんをからかう圭さんのやり取りに私は穏やかな気持ちで笑った。
「圭、あいさん。またね」
北野さんは綺麗な笑顔で私達に手を上げて、あっという間に帰って行った。
「・・・嵐のようなヤツだな、相変わらず」
北野さんの背中が見えなくなった頃、圭さんは疲れたような声でポツリと呟いた。
それがなんだか可笑しくて、私はクスクスと笑って圭さんを見上げた。

