「僕に報告したいことってそれだけ?」
「それだけって、迷惑かけたし。ちゃんとやってるって伝えてかったのよ。ホント相変わらず、圭は冷たいわね」
圭さんの冷めた態度に北野さんは文句を口にするけど、やっぱり全然気にしていないのか、目は笑っている。
打ち解けあっている2人だからこそ、成り立つ会話なんだと思うと、ますます落ち込みそうになる。
「あい?」
ボーっとしていた私の顔を圭さんが心配そうに覗き込んだ。
私はモヤモヤとした気持ちを振り払うように圭さんに笑顔を見せた。
「ここのオムライスとっても美味しいから夢中で食べちゃってた」
へへっと笑って言った自分の台詞があんまり間抜けで、私は心の中で溜息を吐いた。
私ってどうしてもっと気の利いたことを言えないんだろ。
「あい・・・」
何かを察した圭さんが真面目な顔をして口を開いたけれど、私はそれに気づかない振りをして笑顔のままもう一口、オムライスを口に運んだ。
「・・・そんなに美味しいの?だったら僕にも一口頂戴」
「へ?」
急にそんなことを言われて私が固まってしまうと、なぜか圭さんはニヤッと笑って「ほら、早く」と口を開けた。
え・・・それは、もしや食べさせてって言ってるの?
パニック気味であたふたする私を圭さんは面白がって口を指さしながら急かせる。
目の前に北野さんがいるのもまったくお構いなしで。
私は頬が赤くなるのを感じながら、一口分をスプーンで掬って圭さんの口元に差し出した。
それをパクッと食べて。
「ん、美味しい」
と、圭さんは満足げに私に笑いかけた。
「・・・・・うわぁ、圭のそのキャラ何?矢野君の言ってたのってこれ?」
北野さんは少し顔を赤くして、呆れたような顔で私達をまじまじと見ていて。
恥ずかしさで、私は赤くなった頬を隠すように俯いた。

