「あの・・・・・」


「あ、ごめんね。実は・・・僕、東都大の卒業生なんだ。ちなみに、僕の職場は大学の隣で」


「え?」


今度は私が驚く番だった。
圭さんが東都大の卒業生で、職場がその隣・・・ということは・・・


「うん、東都大附属病院」


私が思っていたことが伝わったのか、圭さんが頷きながら答えてくれた。


やっぱり・・・大学に隣接している大学病院のことだった。
ということは・・・・・


「お医者様なんですか?」


「うん、一応ね」


にっこりと笑って圭さんはもう一度頷いた。
圭さんが白衣を着ているところを一瞬、想像してしまう。
背が高くて、細身の圭さん。
優しい綺麗な笑顔で患者さんに接している彼を想像して、私はなぜかドキドキと鼓動が跳ねた。


きっと、圭さんは白衣がよく似合う。


「でも・・・すごい偶然だよね。建物は違うけど、同じところで働いてるなんて・・・やっぱりこれも運命なのかな?」


そう言って嬉しそうに笑う圭さんに、私もとても嬉しくて。
くすぐったい気持ちになりながら、二人で顔を見合わせて笑い合う。


「今度、大学の図書館に行って、あいが働いているところを見に行こうかな」


「えっ?」


悪戯っ子みたいな笑みを浮かべて、圭さんが冗談めかして言う。
その表情は可愛いのに、どこか艶やかで。
私はドキンと大きく鼓動を跳ねさせながら、頬が赤くなるのを感じた。


「不意打ちで行くから、楽しみにしていて?」


「・・・・・不意打ちは心臓に悪いです」


赤い顔をして眉を下げる私に圭さんは楽しそうに小さく声を立てて笑った。
その笑顔もやっぱり見惚れるくらい素敵だから、私はますます困ってしまうけれど。
でも全然嫌な気持ちはしないから・・・。
逆に、くすぐったいような嬉しい甘酸っぱい気持ちが溢れてきて、笑う圭さんに釣られて、私もいつの間にか一緒に笑っていた。