*sideあい*
圭さんと高梨君のことがあった後、私が課長のところから受付に戻るとそこにはもう高梨君はいなくて。
事務室から出てきた私に受付に座っていた中野さんが手招きした。
「中野さん、さっきはすみませんでした」
何となく謝った私に中野さんは苦笑いして隣の椅子を叩いて座るように促す。
それに応じて私が座ると、中野さんはヒソヒソと話し出した。
「高梨君、気を付けた方がいいよ。本気みたいだから」
「え?」
中野さんの言っている意味が分からなくて、首を傾げる私に中野さんは「はぁ~」と大袈裟な溜息を吐いた。
「これじゃあ、桐生先生も気が気じゃないね」
「え、あ・・・どういう意味ですか?」
「高梨君は水瀬ちゃんのことを狙ってるんだよ。桐生先生もすぐに気付いてたし、彼の態度はバレバレ。気付かないのは水瀬ちゃんだけ」
「え・・・そんなこと・・」
呆れたような中野さんの口調に私は目を丸くして呆然としてしまう。
だって、あの高梨君が私を狙ってるって・・・どういう意味で?
それを圭さんも気付いてたって・・・・・
「高梨君、最近何かにつけて水瀬ちゃんに近づいてきてたでしょ?アレは水瀬ちゃんのことが好きだから。傍から見ててもわかりやすいのに・・・鈍感な水瀬ちゃんは可愛いけど、あんまり無防備だと桐生先生、心配しちゃうよ?」
「・・・はい」
私は色んなことに混乱して、諭すような中野さんに小さく返事をするのが精いっぱいだった。

