「まあ、あいちゃんは可愛いからなぁ。この俺だって目を付けてたくらいだし?」
・・・そう言えば、矢野も僕とあいのことを知る前に、図書館で見つけたあいを「いい」と思っていたんだよな。
「中野さんが言うように最近のあいちゃん、ますます綺麗になってきたし、狙ってるヤツも多いのかもねぇ。桐生、気を付けろよ?」
矢野が僕を挑発するようにそう言う。
何がそんなに楽しいのかわからないけど、矢野は可笑しくて堪らないとニヤニヤと笑っていた。
「気を付けるって・・・何かあるわけ・・」
「婚約したからって油断するな。その高梨とかって言うヤツ、聞いてる限り諦め悪そうだしな」
「・・・・・・」
自分に言い聞かすように言った僕の言葉を遮った矢野に思わず黙ってしまった。
さっきの高梨の僕を睨み付ける目を思い出して、胸がキリキリと痛んだ。
確かに、アイツは諦めてないっていう目をしていた。
「ま、あいちゃんの気持ちはそんなに簡単に揺れたりしないだろうけど。強引に言いよって来られるとどうなるかわからねぇぞ」
「そんなこと絶対させないよ」
不意に真面目になった矢野の口調に僕は矢野を睨むようにして、はっきりと言った。
「ま、頑張れ。あと、不慣れな嫉妬って感情もうまくコントロールしろよ?」
「・・・・・コントロールなんてできるもの?」
僕の返しに、矢野は可笑しそうに声を上げて笑った。

