*sideあい*



私は仕事柄、図書館に来た学生に何かと訊ねられることは多い。


今、検索用のパソコンで一緒に本を探しているこの高梨君もその一人。
最近課題が続いているとかで、よく顔を出しては色々と質問されたり、本を探すお手伝いをすることが多くて、顔見知りくらいには親しくなっていた。


スポーツマンなのか、体格ががっしりしていて人懐っこい笑顔で話しかけてくれる高梨君は深い意味ではなく、かっこいい人だと思うしきっとモテる人なんだと思う。


でも私には圭さんの方がずっとかっこいいし、素敵だけど・・・


なんて、恥ずかしいことを思いながら、高梨君の探している医学書を一緒に検索していた。


「あ、探している本、あったよ。書棚の場所、控えておくね」


目的の本を見つけて、保管されている書棚の場所をメモしていると、不意に私の髪を梳くように撫でる感覚がして、びっくりして顔を上げた。


「ちょっ、高梨君!」


「水瀬さんの髪、サラサラで綺麗だね。手触りよくて気持ちいいな」


驚いて見上げた高梨君が私の目を見てフッと笑った。



え・・・な、に?



その時、突然のことで頭がついていかなくて固まってしまった私を呼ぶ声が聞こえた。


私の大好きで、堪らなく愛しい人の声が。