「さっき振り返ったあいを見た瞬間、とても綺麗でどうしていいかテンパったんだ」


照れ笑いを浮かべながら少し目元を赤くする圭さんに、私の方がもっと真っ赤になった。


圭さんの腕の中で真っ赤になる私を見下ろして、圭さんはクスッと笑うと、耳元に顔を寄せてポツッと呟いた。


「綺麗過ぎるあいも、照れて可愛すぎるあいも他の誰にも見せたくないから式やめる?」


「へ?」


冗談ぽく、でもすごく色っぽい声で圭さんの言った言葉の意味に、私は真っ赤だった顔がもっと真っ赤になって、間抜けな声を上げて聞き返した。


「ぷっ、あははっ。冗談、冗談だよ」


私の反応に圭さんが堪らないとばかりに笑い出した。
からかわれたんだと気づいて、私はムッとして睨むように圭さんを見上げた。


「ごめん、だってあいが可愛すぎるから。そんなあいを誰にも見せたくないっていうのは本心だよ。でもみんなにあいは僕のモノだって見せつけられるから、それはそれでいいかな」


「・・・見せつけるって」


ニヤッと笑う圭さんに呆れた振りをして見せるけれど、真っ赤な顔をしている私の本音はお見通しで。


“僕のモノ”っていう圭さんの独占欲が嬉しいなんて口には出せない私だけど、圭さんはそれでも満足そうに笑顔を深めた。




コンコンと軽くドアをノックする音が聞こえて係りの人が私達に時間を知らせてくれた。


「行こうか。僕のあいがどんなに綺麗かみんなに見せなきゃ」


チュッとリップ音を立てて、私の頬にキスをして満面の笑みの圭さんは私の手を引いてドアを開ける。



この先に待っていてくれるのは私達の大切な人達。


その人達の前で2人の永遠の未来を誓う。



やっと叶えられる幸せを体中で感じながら、私は誰よりも愛しい圭さんと並んで一歩踏み出した。