「え?ちょっ、あい?・・・なんで涙目になってるの?」


すっかり自信のなくなった私は涙まで滲んできてしまって。
せっかくのメイクが台無しになることがわかっていても止められそうにない。


私のそんな様子に圭さんはびっくりして、慌てて私のすぐそばへ近づいてきて私の肩に両手を乗せると、覗き込むように顔を近づけた。


「・・・・・だって・・・似合ってないんでしょ?」


「は?・・・ええ!?似合ってないって何が・・・え、ドレスのこと?」


圭さんはますます慌てて、私の顔を覗き込んだまま瞬きを繰り返して声を上げた。
私は圭さんに似合ってないと肯定されるのが怖くて、ギュッと目を瞑ると小さく頷いた。


「そんなわけないだろ!めちゃくちゃ似合ってるよ!!あいが綺麗過ぎてどこを見ていいのかわからないくらい・・・本当にすごく綺麗だよ」


「え・・・・・」


ぱちくりと今度は私が瞬きを繰り返す番だった。


思っていたのと正反対の圭さんの言葉に滲んでいた涙もいつの間にか止まっていた。


「ごめんね?僕がすぐに『綺麗だ』って言わなかったから不安になったんだよね?」


「・・・うん」


圭さんは優しく訊いてくれて。
整えたメイクと髪型が崩れないように、いつもよりそっと私を抱き寄せてくれた。
それに私は恥ずかしく思いながらも素直に頷いた。