圭さんの実家を後にした私達は帰る前にある場所に寄り道した。


そこは・・・


「わぁ!すごく綺麗!!」


以前圭さんと来たあの高原にある高台だった。


きっとここから見る夜景が綺麗だと。
今度一緒に見に来ようとあの時言っていた。


それが今、実現出来て。
圭さんと2人でここからこの夜景を見ることが出来て、私は嬉しくていつになくはしゃいでいた。


実際にこの場所から見る夜の景色はお昼のものとまた違う綺麗さだった。
一望できる眼下の街は宝石のように明かりが一つ一つ輝いていて。
想像していたよりもずっと綺麗で、心に沁みるような景色だった。


「ねぇっ、圭さん。ホントに綺麗だね!」


「・・・そうだね」


はしゃぐ私が嬉々として声を上げると、圭さんはそれとは真逆のとても落ち着いた声で答えた。


怒っているというわけではなくて、いつもの穏やかな圭さんなんだけど。
なんだかその声のトーンを不思議に思って、私は隣りの圭さんを振り返った。


すぐ近くで私を見下ろしている圭さんは、声と同じ穏やかな優しい顔で笑っていて。
心の中がじんわりと温かくなるようなそんな笑顔だった。


それと同時に確実に熱が上がる私の体温。


圭さんの笑顔はやっぱり媚薬だ。


ドキドキと鼓動を上げながらも一人ではしゃいでいたことが恥ずかしくなって。
私は少し彷徨わせた視線を照れ隠しに目の前の夜景に戻した。


本当ははしゃいでいたことが恥ずかしいのよりも、圭さんの穏やかなのにどこか熱っぽい眼差しにドキドキし過ぎていたから。


これ以上見つめ合っていると、心臓がパンクしそうだったから。