いつもは温厚でほんわかしているお父さんが今日は珍しくあっという間に酔っぱらって。
夕食という名の飲み会は早々にお開きになった。
客間に圭さんの布団を用意していると、お風呂から出てきた圭さんが声を掛けてきた。
「あい、ありがとう」
シーツのしわを伸ばしながら、振り返ると圭さんはにっこりと笑って私を見つめていて。
私も同じように笑顔で頷いた。
頷いた私は圭さんが言った『ありがとう』を今用意している布団のことだと思ったのだけど。
次に言った圭さんの言葉でそうじゃないんだと気づいた。
「さっきお義父さんに言ってくれた言葉、嬉しかった」
敷いた布団の前に座り込む私のそばに近づいて、私に視線を合わせるようにしゃがんだ圭さんが真面目な顔をして私の顔を覗き込んだ。
私は今、ものすごく赤い顔をしているはずで。
それを見られるのが恥ずかしくて、顔を逸らすように下を向く。
だって、圭さんに言われて自分でもさっきの台詞を思い出したから。
『誰よりも圭さんを幸せにする』
あの時は何も考えずに当然のようにはっきりと答えられたけれど。
今思い返すと、すごく恥ずかしいし、ちょっと傲慢かもと思った。
言った言葉に嘘はないし、心からそう思っているけれど。
「僕を幸せにしてくれる人はキミ意外にあり得ないから。だからあいが迷わずにそう言ってくれて本当に嬉しかった」
下を向く私の頬に手を添えて、上を向かせた圭さんは私の瞳をじっと見つめてすごく綺麗な顔で笑って見せた。
とても幸せそうなその笑顔に私の心はキュンっと甘く疼く。
圭さんの笑顔は本当に媚薬みたいなものだ。
もっと見たくて、それを私だけに向けてほしくて。
どんどん我儘になっていきそう。

